最初で最後の、最愛。

忘れよう、朽ちよう。

父親が自殺した

お題「どうしても言いたい!」

 

 前に、タクシー運転手から聞いた業界の闇を記事にした事がある。

 

 運転手は歩合制で、俺が住んでいる田舎じゃ月給10万を超える事は難しいらしい。でも、タクシー業界へ入る方は、他人には言い難い過去があって就職している事が多い。だから「タクシー業界は職の墓場」なんて言われ方をしたりする。なので薄給でも働き続けている人が多い、と。

 

 俺がその時乗っていた運転手から聞いた。同僚が2人自殺したと。

 

 「後輩が自殺したのは2週間前の話だよ」

 

 そう言われた時、車内に沈黙が流れた。その後輩は自分へ生命保険をかけていたらしいが、入って一年以内だと保険金は降りないとわかった。だから1年待ってから死を選んだって。

 

 「この給料じゃ家族を養っていけない。でも転職は出来ない。だから保険金でちょっとでも家族にお金を、って言って――」

 

 

juliajewelkali.hatenablog.com

 

 

 この話を、母親にもしたんだ。そしたら「お父さんも同じ理由で死んだね。1年と3日待って」

 

 21年生きてきて、初めて聞いた真実だった。

 

 幼い頃、「パパは川を泳いでいて、事故で死んだんだよ」と伝えられていた。もちろん鵜呑みにした。でも、物心ついた頃だったか。事実を黙っていても無駄だと思ったんだろう。「パパは事故じゃなくて自殺なんだ」と、真実を打ち明けられた。入水、というやつか。

 

 動機は今でも聞いていない。訊くつもりもない。正直、父親の事は何も知らない。顔も名前も、声だって。

 

 ただ、思う事がある。父親はなぜ、小さい俺を残して死んだのか。愛されていなかったんだろうか。それとも、だからこそそうするしかなかった?

 

 事情は知らない。父親に関するあらゆる事を家族が話すつもりが無いのであれば、もしくはそうしたくないのなら、俺の方から問う事もない。

 

 それでも「親子だな」と思った事があった。俺も、15か16の時に自殺を試みた事がある。失敗して病院の天井を眺めている時、なぜか涙がこぼれたのを覚えているよ。

 

 俺は生きよう。そう思えた。

 

 父親にどんな事情があって、そのような末路を選んだのかは知らない。でも、生きていけたと思う。

 

 本当は死にたくなかったはずだよ。だって、1年経ったその日じゃなくて、3日も経過してから死を選んだんでしょ。その間、どんな想いで生きていたんだろう。迷ったに違いない。思慮を巡らせた上で、苦渋の決断をしたはずだ。

 

 悪い方向でばっかり、物を考えちゃったんだろうな。

 

 俺は今になって思う。生きていて良かった。クソみたいな人生を歩んでいるけど、何やかんや言って幸せを感じてる。

 

 父親に何があったかは知らない。でも俺は、あなたみたいに自殺することはない。

 

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