ちょっとした事ですぐに怒る。しょっちゅう喧嘩もする。それは本音と本音のぶつかり合いだから、上面で会話するよりはよっぽど良い。「嫌い」なんて言っても言われても、本当は大好きだ。愛してる。
俺は体が弱い。すぐ偏頭痛の発作が起きるし、心も弱いからすぐ泣きたくなる。そんな俺の事をいつも心配してくれて、嬉しい言葉かけ、優しく抱きしめてくれる。
愛されてる。だから俺は頑張れる。守らなきゃいけないものが出来たから、前みたいに逃げだす事は容易じゃない。立ち向かう強さを得た。
成長させられていた。寡黙だったけど饒舌になった。暗かったけど明るくなった。闇に包まれていた世界に光が差した。
仕事でも家でも料理。妻の為に何かを作るのは、言葉に出来ない愛の表現。
ようやく手にした幸せ。掴んで離さない。諦める方が面倒臭いから、目の前を歩む。ゆっくりと、自分の歩幅で。
今日死んでもいいように生きる。
今日は朝から吐き気と頭痛に苦しんでいた。晩に映画を視聴する予定だったから、妻には黙っていようと思った。
俺は仕事終わりに、妻へ今日あった事を話すのが日課だ。その流れで体調不良な事を伝えてしまった。
「映画館へ行くのをやめよう」
そう言う事は目に見えていたのに、口にしてしまった。でも、デートに行けば元気になる事も容易に想像していた。だからこそ行きたかった。
映画館デート。久しぶりに外食じゃないデートが出来る。待ち望んでいたせっかくの楽しみを壊したくなかった。
シン・ウルトラマン。特撮嫌いな妻が「斎藤工が出てるなら観たい」と珍しい事を言った。俺も、ウルトラマンより仮面ライダー派だが、大好きな長澤まさみが出てるなら観たかった。
待望の、大画面で観る長澤まさみ。初登場の場面はわざと背後から映して、なかなか顔を見せない。だからこそドアップで顔が映る時はえも言われぬ快感がある。やっぱり美しい顔面をしてるね。胸やお尻を強調するカットもあるんだけど、妻には怒られるかもしれないけど興奮した。
内容は、端的に言うと、めちゃくちゃ面白かった。癖のある画角や台詞回しも個性があって良い。話の進み方も調子良くて中弛みしない。"空想特撮"とは言うものの、実際に起きたらこうなりそうだと納得させられる現実味があった。
ファンが望むものが詰め込まれている。偽ウルトラマンにチョップしてスーツアクターが骨折した場面のオマージュとか、巨大化する長澤まさみとか面白かった。
自己犠牲を正義とする脚本はありきたりではあるが、王道はやっぱり定番の面白みがある。正直、結末は序盤から予想がつく。でも、だからこそ特撮って面白いんだと思わさせられる。
ウルトラマン、観てこなかったけど他のシリーズも視聴したいなって思った。
次はシン・仮面ライダー。今度は妻が好みな俳優がいないけど、脚本は絶対に面白い。乗り気じゃないけど無理矢理観てもらおう。1人で行くのは寂しいからね。
俺も、妻の為に自己犠牲も厭わない夫でありたいな。