朝から曇り空。夕方には雨が降り出して、低気圧が偏頭痛を引き起こす。発作は以前に比べマシになったとはいえ、マクサルトが欲しくなる。でも、飲んでも飲まなくてもそのうち頭痛は治るし、金欠の今、頭痛外来には行きたくない。
前は嘔吐を引き起こしたが、今は食欲不振程度。耐えられない程ではない。
そんな中で働く。いつもの韓国料理屋で日雇い。今日で最後になるが、特に別れの言葉は言わなかった。いつも通り仕事をこなして退勤。正社員になってからも休みが合えば働きたいが、仕事柄休日出勤がありえるので難しいところ。でもまたいつか働きたいから、「お疲れ様でした」とだけ言っておく。
朝昼兼用のご飯は、みんみんの焼き餃子とチーズビビンバ。食べるのがこれで最後になるかもしれないと思うと名残惜しい。
とは思わなかった。もう完全に飽きた。美味しいとは思うけどそんなにしょっちゅう食べたくなるような刺激は無い。もう一生分食べたと言える。
みんみんの焼き餃子は、また食べたくなる味だな。
あともう一つ、俺が食べ飽きないのはこれだ。
カルパス。もう何百本、何千本と食べてきた。それでもまだ食べたくなる。これがご飯代わりになった日は何回あっただろうか。
何故これほどまでに病みつきになるのかわからないが、俺の食事はこれだけでいいくらい。最後の晩餐に食べたいくらいの逸品だ。
あとは、キャメルのメンソールがあれば申し分ないな。
偏頭痛とかいうしょうもない持病のせいで、俺の幸せな一日が邪魔されるのは嫌だ。
学生時代はよく寝込んだ。起き上がるのはトイレで吐く時くらい。こんな人生はもう御免だ。これが人生最後の日だったら最悪だろう？
神社で働くようになったら、発作が治るようになった。神の御業だとよく言った。退社して一人暮らししたらまた発作が出るようになった。でも、彼女が出来たら軽くはなった。不思議なものだ。神と恋が俺を助けるのかもしれない。
ストレスなんだろうな。俺は精神が弱いから負担がかかると連動して体も壊す。屈強や強靭なんて言葉が似合わない男だ。だからこそ、病院に行ってしまうと負けな気がする。薬に頼ると依存してしまう。
そういえば、俺は昨日の健康診断を受けるまで、しばらく病院へ行っていない事に気付いた。昔は毎月通っていた。甘えていたんだ。診察と薬の代金を無駄にしていたに過ぎないのに。
今は身近に痛み止めがある。巨乳を揉みしだくのが精神安定剤。
今の俺は、引きこもりだった頃に憧れたリア充の姿だ。歯を食いしばってここまできた。俺は苦難の日々を乗り越えてきた。ようやく手にした幸せ。妻の豊満な体に抱きついていると、それをしみじみと感じる。
これが、俺の掴んだ夢なのだ。カルパスもキャメルも巨乳もあるから、これ以上ない幸福。でも、不安が全くない訳ではない。
来月から介護施設で働く。しんどいとはよく聞く。女性が多いからきっと派閥争いもあるし陰口も聞く羽目になるだろう。慣れない仕事で失敗の連続になるのも目に見えている。それでも俺は立ち向かわなければならない。
なぜなら、妻を守るのが夫の役目だろう？
きっと、たわわなおっぱいを揉んでいれば何とかなる。
