刺激中毒

今日が命日でもいいように、過去を悔やまず、未来を恐れず、現在を生きる。

なぜ俺は仮面ライダー龍騎を推すのか

 

 

お題「もう一度見たいドラマ」

 

チャオ!

 

これを超える作品はないと思ってる

 

ビッグボーイですううう!!!!!

 

 

 俺はクウガ世代の完全なるゆとりなんだけど、一番記憶に残っているのは仮面ライダー龍騎。今も昔も大好きな仮面ライダーである。

 

 

 13人の仮面ライダーが自らの望みを叶えるために最後の1人になるまで殺し合い続ける*1という争いを、日曜の朝から見ていた小学生の俺は非常に衝撃を受けた。仮面ライダーというのは正義の権化であり、悪の組織を殲滅する為に自らの手を汚す男達だと思い込んでいる節があった。しかし、龍騎は違う。そのような勧善懲悪を否定し、斬新な構想を打ち立てている。

 

 例えば、『悪の仮面ライダーが登場している点。仮面ライダー王蛇に変身する浅倉威は脱獄犯であり、暴力な性格からライダーバトルに参加しているだけの愚れ愚れしき男。このような存在が変身する作品は、昭和から描かれてきた仮面ライダーへのアンチテーゼだ。

 

 正義とは何か。不義とは何か。仮面ライダーとは何なのか。ぼんやり思っていた固定観念へ疑問を呈する作品。それが、仮面ライダー龍騎なんだ。

 

 

 仮面ライダーに対する再着想は13人のライダー達を見ればわかる。

 

 主人公、龍騎に変身する城戸真司。偶然カードデッキを手にし、モンスターと契約して仮面ライダーになってしまうが、ミラーモンスターやライダーバトルの存在を知ってからは『戦いを止める為の戦い』をはじめる。

 

 他のライダー達が自分の命を賭けてでも叶えたい願いがあると知ると戸惑い、迷い、時には立ち止まる事もあった。それでも殺し合いは辞めるべきだと主張し続けた。

 

 彼は今までのライダーと違い、確固たる理念や思想がある訳じゃない。偶然が重なってライダーバトルに参加し、その中で沸き起こった「殺し合いはやめるべきだ」という想念だけを握りしめ、その拳をライダーにぶつけてきた。何度嘲笑されようとも。

 

 

 城戸以外にも他者の為に活動しているライダーが2人いるが、残りの10人は私利私欲の為に自分以外のライダーを殺そうとしている。そういうライダーの最期は醜く、または悲しく何とも言えない死に方をしている。

 

 例えば龍騎と志を同じくするライア。龍騎が死ぬ運命を覆す為に王蛇の必殺技から城戸を守り、ライダーバトルには勝てなかったものの、自分の願いを叶えながら死んでいった。しかし、ライアが契約していたモンスターは王蛇に取り込まれ、皮肉にも王蛇の力を増幅させてしまう。これをライアにとってのハッピーエンドとみるかバッドエンドとみるかは視聴者に委ねられる。

 

 

 そしてもう一人、ナイトに変身する秋山蓮。彼は意識不明の恋人を救う為にライダー達を殺そうとしてきた。少数の為に多数を犠牲にしていいのかという疑問はトロッコ問題を想起させる。

 

 彼は龍騎のライバル的存在として描かれていたが、最終回の一話前で事態は変わる。ミラーモンスターに襲われそうになっている少女を守る為に、城戸は自らを身代わりにしてやられてしまう。そして、蓮に抱かれながら死んでいった。

 

 ライバーバトルを続けていく中でいつかはどちらかが死ぬ運命だとわかっていたはずなのに、蓮は城戸に対して「死ぬな!」と叫ぶ。敵対する存在のはずだったのにそのような発言が出てしまうのは、心の中に友情が隠れている事を表す。

 

 最終回の前に主人公が死んでしまうという展開は、リアルタイムで見ていた小学生の俺にとって衝撃だった。なんやかんや言いながらも龍騎が願いを叶えるものだと心のどこかで思っていたからだ。そういうありきたりな事の進み方を覆すのが仮面ライダー龍騎なんだ。

 

 

 そして、城戸の死を受け入れた蓮は決意する。『信じるものの為に戦う』と。

 

 彼はラスボスの仮面ライダーオーディンを倒し、ライダーバトルに勝ち残った。具体的な願いは作中で明かされていないが、その後の世界においては今まで仮面ライダーだった者達、死んでいった者達が何事も無かったかのように生きている様子が描かれていた。

 

 城戸は勝ち残れなかった。しかし、自分の願いを受け継いでくれた友人のおかげでそれを叶える事が出来たんだ。

 

 ライダーバトルの後、蓮は恋人のいる病院へ。彼は重傷を負ったまま向かっていた為、部屋に辿り着くもそこで命尽きてしまう。壁にもたれ掛って眠るように亡くなった彼の姿は、まるで微笑んでいるかのように安らかな死に顔であった。

 

 彼は自らの命を犠牲にしてでも他人の為に戦った。何度周りから悪態をつかれようとも自分の正義だけは曲げなかった城戸のように。

 

 

 仮面ライダー龍騎では、様々な正義観のライダーが登場する。どのライダーに感情移入しても死亡という末路を辿る。『戦わなければ生き残れない』というキャッチコピーなのにも関わらずだ。

 

 そして、終盤の狂言回し。「この戦いに正義はない。そこにあるのは純粋な願いだけである」

 

 

 俺にとって、仮面ライダー龍騎『正義とは何か?』を考えつめた哲学的作品だ。このような作品は後にも先にも龍騎だけだろう。平成ライダーの中で一番好きだし、俺の人生を大きく変えた作品である事は間違いない。だからこそ、龍騎を語り継いでいきたいんだ。

 

 

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