人狼ゲームシリーズは、B級映画に思えて、そんじょそこらの作品よりは伏線回収が上手いし、考察しながら視聴できる、見応えのある映画だと思う。
一作目から運営に関する怒りをぶつける場面は幾度とあれど、運営に関する事はぼやかされたままシリーズが続いていた。そこでこの、最新作。ついに運営視点で物語が続く。
「ようやく話が大きく進むのか」
そう思いながら食い入るように観ていたが、良い意味で予想を裏切る結末だった。
運営の、さらに上がいる。
主人公・正宗は、ゲームの参加者に元教え子がいる事に気付く。「見殺しには出来ない」と、助ける事を決意。運営が直接ゲームに加わってしまう事で、様々な思惑が交差する人狼が始まった。
もう、この時点で面白い。運営が関わるってのは映画だからこそ出来る事で、現実の人狼ゲームでは出来ない設定。新鮮で、面白かった。
「正宗の望み通り、元教え子の柚木を救えるのか」
胸を高鳴らせながら動向を見守る。
話が進んでいく中で、疑問に思う事が多々出てくる。他の運営人が口にする言葉や行動が不自然。
「なんでその言葉を言った?」
「なぜそこでそうなる?」
それらは全部、伏線だった。冒頭から散りばめられている全てが、結末で一気に回収される。
俺はあくまで作中で行われている人狼ゲームの結末を考察していた。
「まあ、どうせ柚木が助かるオチでしょ」
間違ってはない。今までの映画同様、主人公は生き残る。でもそれは、正宗の暗躍によるものではなかった。
正宗以外の運営人も、みんな自分の大切な人がゲームに参加させられていた。
恋人が人狼になったくるみは、霊媒師が誰なのか、用心棒が誰を守るかなど、メタい情報を彼氏・一ノ瀬に流していた。
それに気付いた正宗は、コソコソスマホを触っているくるみを捕らえるも、刺されてしまう。しかし、そこに跡を追ってきた姫菜が、くるみを刺してスマホを奪い、虚偽の護衛先を伝える。
「小春は妹なの」
村人側が、特に妹が助かるように動いていた事がわかる。他にも、発言の内容から、運営人のリーダー・鬼頭は萌々香の父親だし、琥太郎はすみれの恋人。皆が皆、自分の大切な人が生き残るように祈っていたのだ。
最後に正宗は、自分達運営人も『人狼ゲーム』の一部としてライブ中継されている事を悟り、客らしき人が映像を見ている場面で、映画は終わる。
何これ。面白すぎるやろ。