お題「気分転換」
今日は散々な一日だ。一人で配達に行かされた。いつかはしなきゃいけない事だからそれはまあ良いとして、客が指定した住所をマップに打ち込むと、関係ないラーメン屋に辿り着いた。
最初は俺の打ち間違いかと思って焦ったが、中から支度中の店主が出てきた。建物名を伝えるが、聞いた事ないと言う。慌ててもう一度マップに住所を打ち込む。やはり目の前の建物を指す。画像も一緒に出てきたが、確かに俺の目の前にあるラーメン屋で間違いない。
「マップに入れた住所間違えてんじゃねえか?」
店主はそう言って、自身のスマホでナビをしてくれた。やっぱり現在地になる。でも、そもそもここの住所と全く違うらしい。逆方向だと言う。
口頭で町の住所を教えてもらい、とりあえず急いでそこに向かった。
具体的には言えないが、『○○3』というアパート名だ。着いたその町には『○○1』というアパートはあった。同じ名前だから近くにあるかもしれない。そこに入ろうとしている老夫婦がいたのでアパート名を訊ねるが、聞いた事ないと言う。近くの工場や一軒家に住む人にも訊いたが、皆首をかしげる。検索しても出てこない。
遅配になるので申し訳ないから、客に電話した。無言。近くに幼稚園があったので今そこに居ると伝え、道を訊くが「真っ直ぐ行った所にある」としか答えない。切られたはいいが、真っ直ぐ行っても突き当たりにしかなく、周辺にアパートは無い。客が書いた名前も明らかに偽名なので、調べようがなかった。
結局、キャンセルになった。
店に帰るが、誰もこの事に触れない。謝ったけど特に何も言われず。ああ、失望されたなって思った。
デリバリーを一人でやらせたのも、きっとマネージャーが俺に期待しての事だろうに、その期待に応えられず、信用を落としてしまった。
もう俺はこの店でやっていけないのかなって、落ち込んだ。でも、店に帰ってから、デリバリーの新しいポジションを教えてもらった。それは即日、一人でこなした。俺は、自分の出来る事を精一杯頑張るしかない。
ゴールド免許だけど、運転は苦手だ。引っ越したばかりのこの街に、土地勘なんてない。そもそも向いてない仕事を任されている。逃げ出したい気持ちはあるけど、今年は苦手を克服する年だと決めた。
今回の事は、運が悪かった。ググってみると、マップが目的地と違う場所を示す事は度々あるらしい。機械だって間違う事はある。
次だ。次、頑張ろう。今日も俺は頑張った。
仕事終わり、この事を彼女に話したら励ましてくれた。慰めてくれる彼女は優しい。
晩御飯に、牛丼と豚丼を食べた。美味しかった。
それと、コンフィデンスマンを見ながらお菓子を食べた。
幸せだ。俺は良い人生を歩んでいるんだ。これも経験。
幸せな結婚生活を目指して、一生懸命、歩みを進める。