最初で最後の、最愛。

忘れよう、朽ちよう。

略奪愛

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 俺はただ、愛を求めていた。ずっと寂しかった。

 

 幼い頃はよく、親から放ったらかしにされてた覚えある。父親は俺を捨て自殺し、母親は腹を空かせた俺を無視してケータイやパソコンに齧り付く。否定されて育った俺は、お爺ちゃんやお婆ちゃんに可愛がられた記憶がある。

 

 でも、じいじもばあばも死んだ。

 

 学校では同級生や教師から暴力を加えられ、家では母親に暴力を振るわれ、俺は生きる意味や存在価値に疑問を持つようになる。その頃からずっと、希死念慮に苛まれていた。

 

 実家を出て行けば、何か幸福な道があるかもしれない。そう思っていた。

 

 仕事を頑張って、一人暮らしをしていた時、婚約者となる今の彼女と出逢った。二児の母で、当時はまだ既婚者だった。でも俺は、彼女と結婚したいって思った。

 

 略奪した俺は、ただのクズだと思う。

 

 彼女と過ごす時間は、とてつもなく幸せだった。そんな、ワガママでしかなかった。

 

 

 今になってみて、どうだろう。彼女は俺に着いて来てくれたが、前の家庭より苦しい想いをさせてしまってる。

 

 「もうこんな生活嫌だ」、「別れたい」なんて言葉を、何回聞いただろう。

 

 彼女はきっと、俺と一緒になる事で、もっと幸福な日常が過ごせると信じて、付き合ってくれたのだと思う。そんな期待を裏切る形となった。

 

 「嘘つき」

 

 彼女は何度もそう言った。

 

 困窮していた時期の話だ。

 

 

 妊娠が発覚してすぐ、コロナで会社は倒産して、悩んだ挙句中絶して、次の会社では社長や上司からパワハラを受け、異動先じゃ7連勤も当たり前で、あまつさえ夜中の1時まで働く生活。

 

 そんなある日、家に帰れば彼女が出て行っていた。

 

 死にたくならない奴がいるだろうか。俺の、今までの苦悩は何だったのか、と。努力は水の泡だ。彼女の為に、寮付きだからと、過酷な仕事を熟していたというのに。

 

 否、全て、俺の撒いた種であった。俺が色んな人の人生を壊していたのだ。そして、自分が望む、理想の幸福な家庭という夢さえ、自ら破壊してさ、馬鹿げてるよな。

 

 

 彼女は戻ってきてくれた。でも20日、彼女はまた、別れたいと言い出した。俺の言い間違いで、ヒステリックになってた。

 

 ツラいんだろうな。焼肉行った動画あげたけど、隣の席が家族連れだったのよ。色々と、思い出すものがあるんだろう。言わないだけでさ。

 

 でももう、彼女は、前の家族の所へ戻れない。前みたいな家庭には。

 

 後戻り出来ない道を、選ばせてしまった。その選択に、後悔してほしくなかった。俺と暮らす方が幸せだって、そう言ってほしかった。でも昨日、彼女が号泣したのは、そう思えない事の表れだ。

 

 「幸せって何?」と言われた。彼女曰く、わからない。

 

 俺と過ごす時間が幸せだとか、そう言ってほしかった。でも、しんどい想いをさせてしまってる。

 

 俺と同棲する前の方が、彼女は幸せそうだった。一緒に暮らすようになって、「疲れた」とか「しんどい」とか、「つらい」みたいな言葉を、多々聞くようになった。

 

 「一緒に居る事に疲れた」

 

 彼女は昨日、そう言った。そんな言葉、聞きたくなかった。

 

 俺と一緒に居て、幸せじゃない…。そうか、ごめんな。

 

 「私は幸せになっちゃ駄目なんだ」

 

 そう言っていた。でも俺は、そう思わない。幸せになっていいよ。その為に、2人で頑張ってるんじゃん。

 

 

 一緒にいてくれて、ありがとう。迷惑かけてごめん。

 

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