愚行権の行使

忘れよう、朽ちよう。

別れて3日。ようやく現実を受け入れた。

 朝、寝起きで「もう元カノとの事はスッキリした」と、思ってもない事を呟いてみた。無理矢理そう言う事で、自分に言い聞かせた。

 

 起きてからずっと、仕事中から寝る直前まで、元カノの事を想い続ける3日間だった。

 

 1人でいると、泣きたくなる。正直、仕事中も涙目になる。仕事してると気が紛れるが、その仕事も、ホントはパワハラとかでツラい。それを元カノが励ましたり慰めたり、応援してくれるから、ここまでこれた。でも、元カノはもう居ない。多分、戻ってもきてくれないのだろう。唯一、数十分だけ繋がってたメールも、もう返信が来ない。電話はもちろん出ない。

 

 警察の話によれば、向こうは俺をストーカー呼ばわりしてるらしい?

 

 日本語のおかしな警察だったので、正しい情報は伝わってない。でも、元カノが縁を切りたがってる事はわかった。すっぱり別れたいのだろう。

 

 「子供が出来たら、性格が変わりそう」

 

 出て行く前日の夜、そう言われた。妊娠が発覚した時と、違うセリフを。その時は、「優しすぎて、甘やかすパパになりそう」なんて、微笑みながら言ってくれたのに。

 

 俺の、彼女への扱いが冷たく、ぞんざいになってしまったからだと思う。

 

 キスとか手を繋ぐとか、そういうスキンシップは毎日してた。元カノが出て行った当日にだって、車の中で手を繋いだ。いや、今思い返せば、彼女は手をグーにして、指を絡ませないようにしてた気がする。でも、行ってきますのチューもした。それが最後、元カノはもう姿を見せない。なぜか俺を送り出す時、寂しそうな顔をしていたけど、今思い返せば、出て行く事を決心したからなんだろうな。

 

 休憩中に聞こうとしてたけど、すぐ訊けばよかった。そうすればまだ何か進展があったかもしれない。昨日の事を、謝罪でもしていれば、まだ…。そんなこと考えたって、過去は変わらないけど。

 

 

 「愛してる」とか「可愛い」とかだって、付き合ってから毎日言っていた。出て行った当日だけ、言えていなかった。言わなかった訳じゃないんだけど、いつも仕事帰りに言ってたから。

 

 

 彼女は、俺との未来に、幸せを見出せなくなっていた。

 

 出て行く前日の夜、喧嘩してた。内容は、彼女が叩いてくる事。俺はそれを何度も嫌がってるのに、その日もやってきたから、怒った。元カノは「癖だから仕方ない」と、治せないという趣旨を伝えてくるが、俺は叩かれたりする事にトラウマがあり、その話も前にしていたというのに、それでもやってくるのが嫌だった。

 

 「またそうやってすぐ怒る! 出て行けって言うの? 同じ事の繰り返しじゃん!! このままじゃ、幸せになれないと思うよ!!!」

 

 「俺もそう思うよ」

 

 俺がそういうと、彼女の表情は変わった。今までに見た事が無い表情だった。冷たい。俺に対して、冷めた瞬間だったんだろう。あの時、出て行く事を決意したに違いない。俺に背を向け、不貞寝してた。

 

 俺は今でも、そのようなセリフを吐いた事に、後悔してる。悩んでも取り消せないが。

 

 俺は素直に謝れなくて、眠る彼女の顔に、キスした。

 

 

 彼女は、叩く事を辞めるとは言わなかった。むしろ、言い訳した。

 

 それで出て行かれたのなら、もう仕方ない。

 

 

 でも、心のどこかで、もし戻ってきてくれるのなら、俺は全力で受け入れるって、そう思ってる自分がいる。

 

 理屈では色々思うけど、感情は、元カノを求めてる。俺を唯一、愛してくれた人だから。

 

 感謝してるし、今でも愛してる。

 

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