陳腐な生活から抜け出したかった。彼女を退屈させているのも苦痛だった。
いつもと違う事をしていないと、つまらない日常を変えられない。いつもと同じ事をしていると、いつもと同じ結果がやってくる。
たまには休みに、映画館でも行こうか。彼女を連れ出し、遠くの、オススメの映画館へ。
この映画は、誰かしらが、どれかのキャラクターに感情移入できるだろう。
作中、夢を追い求めるルビッチとプペルを非難する人々に対して、「誰を傷つけたんだ!?」みたいなこと言うセリフがある。何が悪いんだよ、と言わんばかりの発言だ。その強気なセリフに心打たれる。しかし、故意じゃないにしても、夢を追いかける姿は、人を傷つけてしまう場合がある。
アントニオというキャラクターが出てくる。彼は、ホシを見ようとするブルーノやルビッチ、プペルを馬鹿にして、暴力まで振るう。
なぜ彼は、そこまでしてホシを見たがる者を嫌うのか。
彼自身、ホシを見たことがあった。でも、えんとつ町において、ホシなんてものは存在しないとされていた。同調圧力に屈した彼は、馬鹿にされても夢を諦めない、ルビッチやプペルの姿を見ると、苦しいのだ。あの時、ホシの存在を無かった事にした自分が、馬鹿みたいになってしまうから。
大人は、人生のどこかで夢や目標に折り合いをつけて、妥協して生きてしまう。それでも、少年の心を忘れず、夢や希望を持って、上を向いて生きるべきなんだ。
そういった事を感じられる映画であった。