黙ってても心で通じ合ってるとか、確かにそれは素敵なことで、俺も彼女も、それを感じられる時があるのは事実。
でも、言葉にしなきゃ伝えられない事もある。
それが、有り難みと愛情だ。ちゃんと表現しないと、相手には伝わらない。
彼女と付き合って3ヶ月。毎日、「愛してる」と言ってきた。1日で、何回も何回も言う。
正直、自分でも驚くのが、俺は彼女と付き合うまでは、口数の多い人間ではなかった。なのに今は、思った事を、ちゃんと口にして彼女へ伝えられている。
前職の蕎麦屋じゃ、バイトと口を聞かない日だってあって、師匠からコミュニケーション能力について叱られた事は幾度となくあった。
対人恐怖症や人見知りの類である俺が、彼女と接する事で変わり始めた。俺に変化をもたらしてくれた彼女に、感謝しかない。ありがとう。愛してるよ。
彼女は俺を成長させてくれた。彼女からは色んなものを与えてもらっている。
してもらってばっかりではダメだ。俺が彼女にお返しできるものはなんだろうか。
愛。俺の愛を、彼女に注ぐ。
彼女を幸せにしたい。俺を選んでくれた彼女を、後悔させたくないんだ。
俺はよく、「メメント・モリ」や「カルペ・ディエム」を意識する。それは、自分だけでなく、彼女へ贈る言葉でもあるんだ。
彼女にも、死ぬ前に後悔はしてほしくない。俺と出逢って幸せだったって、そう感じてもらいたい。
その為に、出来る事は何だろうか。
愛し合っている今の関係を、変えたくはない。だからと言って、俺は変わらずに居ていいものだろうか。
否。成長をしていかねばならないのは、誰の目にも明白。
刺激。彼女がよく言う。
俺と一緒にいれば退屈しないって、そう思わせてやろう。
2年後の4月3日に結婚する。それまでの間に、俺の本性が見えると彼女は言った。
別に俺は演技してるつもりはないけど、一緒に暮らす事で、俺の色んな面が見れると言った。
「素のままでいてね」
優しくし続けたって物足りなくなるし、だからといって口うるさくしてれば良いってもんでもない。
束縛しなさすぎるのも刺激が足りない。だからといって、縛り続けても窮屈になる。
難しいな。恋愛って。