最初で最後の、最愛。

忘れよう、朽ちよう。

【孫子の兵法】人生を攻略せよ 後編

お題「最近知った言葉」

 

 

チャオ!

 

たった一冊読むのに時間かけすぎな

 

ビッグボーイですううう!!!!!

 

 

 虚実篇までを解説付きで書きました。一万文字を超えてます。このブログじゃ一番の長文。まずはそちらをお読みになってから、この後編を閲覧してもらえると解かりやすいです。

 

 

それでは、授業をはじめます!

 

 

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七、軍争篇

 

 孫子の兵法は冒頭から「極力戦争すんな。戦わずして勝利をおさめよ」という主旨が目立ちました。

 

 負けないことが第一。つまりは、仲間や自分を傷つけない事が大切。これは孫子の兵法で一貫しているところです。しかし、人生生きていれば、誰かと争う場面に遭遇するのは確実。綺麗事だけじゃ通用しません。

 

 逃げてばかりじゃ仲間や自分が敗北してしまう。これじゃあ本末転倒です。ならば、戦う術を身に付けておき、時にそれを活かす事も必要になってきます。

 

迂直の計―迂を以って直となす―

 

 『迂』とは端的に迂回のこと。

 

「わざと遠回りをして敵を安心させ、敵よりも早く目的地に達し」「不利を有利に変える」*1

 

  自分が遠回りをしているとわかれば、相手は油断する。つまるところ、利を与えていると見せかけて隙を狙っている訳だ。

 

 ここでちょっと自分語りをするなら、俺は雇われ店長の座を退いた。俺は多くを語らないので、業界そのものから居なくなるかのように周りは思っているが、それは誤解だ。

 

 遠回りにはなるけど、正攻法でビジネスやって先を読まれるのも癪だし、ほっとけばいいかなと思って。周りが安心しているなら、その隙を突けばいいだけだ。

 

 例え遠回りしたとしても、先に目的地へ到着すれば、向こうが不利になる。相手に有利と思わせて、罠にハメる。

 

兵は詐を以って立つ

 

 『詐』とは騙すことだ。道徳的に、人を欺いたりすることは悪とされ、非難の的となる。しかし、人生を賭けた戦場において、そのような綺麗事は通用しない。

 

 始計篇で登場した言葉兵は詭道なりに通ずる部分もある。ここでまた同じ意味の言葉が登場する辺り、どれほど強調したいのか察することができよう。

 

迂直の計もまた「詐」にほかならない*2

 

風林火山陰雷

 

 一般的に風林火山は知られているが、その続きを知る者は少ない。

 

疾きこと風の如く

徐かなること林の如く

侵掠すること火の如く

動かざること山の如く

知りがたきこと陰の如く

動くこと雷霆の如し

 

 戦争とは騙し合いなのだから、軍隊は臨機応変に集中・分散を繰り返し、有利になるよう行動せねばならない。その上で大事になってくるのが、上記6つだ。

 

要するに、敵に先んじて「迂直の計」を用いれば、必ず勝つ。これが勝利する条件である*3

 

 噛み砕けば、相手に「何考えてるかわからない」と思わせる作戦・行動が大事だ。将棋と同じく、相手に先を読まれているようでは負ける。姑息な手を使ってでも欺き、勝利を手にするべきだ。

 

コレ衆ヲ用ウルノ法ナリ

 

 口頭では聞き取れない場合があるから金鼓を使い、手で合図を出しても見えない場合があるから旗が用いられた。

 

 指揮系統がしっかりと部下を従えるべきだというのは、前編・中編で書いてきた。これは軍隊のみならず、会社組織でも同じことが言えるだろう。

 

 どれだけ人数が大きく、一人一人の能力が高い会社だとしても、命令する立場の人がちゃんとしていなければ、その力を発揮することが出来ない。そのような状態では、いわば隙を見せているのと同じであり、弱点を突かれて終わりだろう。

 

気・心・力・変

 

朝の気は鋭、昼の気は惰、暮の気は帰。故に善く兵を用いる者は、その鋭気を避けてその惰帰を撃つ。これ気を治むるものなり。治を以って乱を待ち、静を待って譁を待つ。これ心を治むるものなり。近きを以って遠きを待ち、佚を以って労を待ち、飽を以って饑を待つ。これ力を治むるものなり。正正の旗を邀うることなく、堂堂の陣を撃つことなし。これ変を治むるものなり。

 

 みんな朝は力が有り余っているが、昼になればだれてきて、夕方になった頃には帰りたがっている。ここ面白いですね。古くから皆そうやって生活してるんだ。会社員だけでなく、学生さんも同じなのではないでしょうか。

 

 つまり、敵にも言える。ならば、相手が絶好調な時に攻めるのではなく、弱った頃合いを見計らって攻めるべきだ。それが出来る者こそ、「気」を掌握した人物といえる。

 

 また、自分達は態勢を整えておきながら、相手の陣営がその形を崩すのをじっと待つ。前篇・後篇でも説明した通り、組織とは無常な訳だから、万全の態勢でもいつかは乱れる。その時が来るまで待ち構えていれば良い。こちらが準備万端で向こうが乱れている時、攻めたらどうなるか。これが、「心」を掌握するということ。

 

 さらに、自分は有利な場所・環境を陣取って相手が現れるのを待機。こちらは体力を温存して相手の疲労を待ち、資金を蓄えて相手の枯渇を待つ。これぞ「力」を掌握するということである。

 

 最後に、敵が万全の態勢で進撃してきて、それがあまりにも強大であるなら、正面衝突を回避するべきだ。逃避する果敢を持ち合わせている者こそ、「変」を掌握しているといえる。

 

さて、ここで一旦まとめてみましょう!

 

気――士気

心――心理

力――戦力

変――変化*4

 

 上記の内容は軍形篇の「勝ち易きに勝つ」に通ずる主旨がある。4つの要素に分け、より具体的に記されている訳だから、これらの術を吸収して、勝利を手にすることが出来よう。

 

八、九変篇

 

 上記までを戦略編とするなら、ここからは戦術編に入ります。この違いについて、ニコニコ動画から引用します。

 

戦争に勝つための工夫→戦略

戦闘に勝つための工夫→戦術

決闘に勝つための工夫→技術*5 

 

利害と判断力

 

智者の慮は必ず利害に雑う。

理に雑えて勤め信なるべきなり。

外に雑て患い解くべきなり。

 

 頭の良い者は、物事の利と害を天秤にかけて思慮する。すぐに飛びつきたい利益があったとしても、それによって被る損害・損失が、後々どう響きそうかも考える。そうした上で何をするべきか考慮するのだ。

 

 逆にいえば、損失・損害に思い悩んでいる現状だったとしても、それによって周囲がどのように動き、次第にどう変わっていくかまで予想する。後で失ったものが取り戻せるとわかっているなら、心配無用。

 

 これについて、諸葛孔明はこう語っている。

 

利益を得ようとするなら、損害のほうも計算に入れておかなければならない。成功を夢みるなら、失敗したときのことも考慮に入れておく必要がある*6

 

吾の以って待つ有ることを恃む

 

その来たらざるを恃むことなく 吾の以って待つ有ることを恃むなり
その攻めざるを恃むことなく 吾の攻むべからざる所有るを恃むなり

 

 敵が来襲しない事を祈るのではなく、そもそも来襲できないように先手を打っておくべきである。

 

 敵が攻撃しない事を祈るのではなく、そもそも攻撃できないように守備を固めておくべきである。

 

 すなわち、『無敵の人』であれということです。これは前編・中編にも通ずる部分がありますね。

 

 孫氏の兵法では冒頭から「戦争するな。戦わずして勝て」と主張しているので、「そもそも攻撃されないように準備すべし」とここまでまた強調されています。

 

将に五危あり―上司として、あるべき姿とは―

 

将に五危あり。必死は殺され、必生は虜にされ、忿速は侮られ、廉潔は辱しめられ、愛民は煩わさる。

 

  • 必死。戦う覚悟があっても、考えが浅いなら殺されてしまう。
  • 必生。生き残りたくて戦いを避ければ、捕虜となって本末転倒である。
  • 忿速。感情論でものを考えていると、敵の挑発に踊らされしまう。
  • 廉潔。八方美人で敵を作らないようにすれば、侮辱されて終わりだ。
  • 愛民。部下を甘やかして育てると、その世話に手を焼いてしまう。

 

 その場の判断で動いてしまうと、末路として痛い目にあう。だから、戦場に置いての行動を「これは長い目でみてどうなのか」と知謀をめぐらすべきなのだと、ここで記されている。しかし、これは人間関係自体に当てはまるのではないだろうか?

 

九、行軍篇

 

ここから地理に関する話が出てきます

 

え、なんかあんまり興味ひかれない

 

この書物が書かれた時期は、徒歩や馬で移動していたし、何十キロ以上も練り歩いていた訳ですから、地形なども非常に重要な情報だったんです

 

舗装されていないとか、今ほどインフラが整っていなかったわけですからね

 

  もっというと、地形や、それに関する相手の動きを読んで、どんな行動をしてくるか予想したりします。*7そういった術が書かれているんですが、現代においては効用が無いので割愛しますね。興味ある人はちゃんと本買ってください(唐突な宣伝)

 

辞卑くして備えを益すは進むなり

 

辞の卑くして備えを益す者は進むなり。

辞の強くして進駆する者は退くなり。

軽車の先ず出でて其の側に居る者は陣するなり。

約なくして和を請う者は謀なり。

奔走して兵を陣ぬる者は期するなり。

半進半退する者は誘うなり。

 

 敵が卑屈な言葉並べながら守備を固めていたら、それは攻めようという思惑があるから。

 

 逆に、高姿勢な物言いで今にも進攻してきそうなら、実は撤退の準備にかかっている証拠である。

 

 対戦中、突然と講和を申し入れるのは、何らかの計略を隠しているからだ。

 

 敵の動きが慌てふためいていて、戦車を並べているなら、決戦の前兆だ。

 

 敵が進んだり退いたりはっきりしないのは、こちらを誘い出そうとしているからだ。

 

 敵の意図を探れ。上記の文章にはそのような意味が含まれているのが解かります。前編からお話ししている通り、戦争とは騙し合いな訳ですから、向こうの言動をそのまま受け取ってはいけません。

 

 これはビジネスにおいてもそうですよね。修業時代、出る芽を潰そうとしているのかわかりませんが、先輩から邪魔された事がありました。ですがこれは裏を返せば、俺を恐れているからなのかな?という風に受け取っています。

 

利を見て進まざるは労るるなり

 

杖つきて立つ者は、飢うるなり。汲みて先ず飲む者は、渇するなり。利を見て進まざる者は、労るるなり。鳥の集まる者は、虚なるなり。夜に呼ぶ者は、恐るるなり。軍の擾るる者は、将の重からざるなり。旌旗の動く者は、乱るるなり。吏の怒る者は、倦みたるなり。馬に粟して肉食し、軍に懸缻無くして、其の舎に返らざる者は、窮寇なり。諄諄間間として、徐に人に言る者は、衆を失うなり。

 

敵組織の態勢を視ながら分析する文章です。これはビジネスに例えられます

 

 会社員がやつれた表情をしているなら、売り上げが順調じゃないなど、会社の問題がある。

 

 利益があるという情報が業界内で出回って、敵の耳にもそれが入っているはずなのに動こうとしないなら、会社が疲弊している証拠である。

 

 労働者がまともに仕事していない、例えばサボっている様子が見受けられるなら、そこの上司は部下にナメられている。きつく言うなら、無能な可能性が高い。

 

 中間管理職や上層部にあたる立場の人が部下を怒鳴っているなら、上司も部下も、仕事自体に不満を持っている。パワハラが横行するような会社は、会社員が労働環境や仕事に納得していない。

 

 上司が自信なさげに部下へ話をしているなら、部下から人望を失っていると自覚していることの表れ。それをわかっていながら改善しないような人間が働いている。

 

 やたらと部下を褒めているなら、それは士気が下がって苦しんでいる状況。逆に、懲罰を頻繁に行っているなら、部下が命令に従わなくて上が悩んでいるからである。

 

会社員の言動から、色々わかるもんですねぇ

 

まだまだあるので、引用を続けます

 

先に暴にして後に其の衆を畏るる者は、不精の至りなり。来たりて委謝する者は、休息を欲するなり。兵怒りて相い迎え、久しくして合わず、又た相い去らざるは、必ず謹みて之を察せよ。

 

 パワハラとか呼ばれるような言動で部下に接しておきながら、後で反抗されるのを恐れている上司は無能である。要は理性で制御できず、感情で動いてしまっているわけだから。そんな所から離れたい末端も多いだろう。

 

敵がそのような状況なら・・・

 

そうやって色々戦略立てる事が出来る訳です

 

 続けます。敵がこちらへ贈り物を持ってきたりして友好関係を築こうとしているなら、会社員達を休ませたいのである。逆に、口では好戦的な言葉を並べておきながら、何ら動きを見せず、かといって退く訳でもないなら、相手の思惑や状況などをよく観察するべきだ。相手の手玉に取られる危険性がある。

 

 これらは経営者だけでなく、一会社員の方々も参考になるような一節ではないでしょうか。

 

 しかし、これは周囲の会社のみならず、自社を観察するのにも使えます。もし部下同士でいざこざがあるのなら、確かに当事者同士の問題かもしれないが、会社にも少なからず原因はあると考えられるでしょう。上記の動きを仲間達にはしてもらわないよう、徹底する必要がある。

 

兵は多きを益ありとするに非ざるなり

 

惟だ武進すること無く、力を併せて敵を料らば、以て人を取るに足らんのみ。夫れ惟だ慮り無くして敵を易る者は、必ず人に擒にせらる。

 

 「来るもの拒まず」と言わんばかりに採用する会社・店があるが、数が多ければ良いという考えは誤りである。数に任せて商いをやろうとする手法に知謀はなく、上司としてふさわしい姿ではない。

 

 また、大して業界の情報を集めようとせず、偉そうに物を言う経営者は捕虜になる。要は負ける。格好の餌食となる。

 

卒、未だ親附せざるに、而も之を罰すれば、則ち服せず。服せざれば則ち用い難きなり。卒、已に親附せるに、而も罰行われざれば、則ち用う可からざるなり。故に、之を合するに文を以てし、之を斉うるに武を以てす。是を必取と謂う。

 

 部下との信頼関係や、会社に対する忠誠心もないまま、そのような人達を罰したりすれば、彼らは命令を利かなくなる。労働意欲・モチベーションを高めて働いてもらわないと、会社経営は成り立たなくなる。逆に、部下が心服しているのにちゃんとした賞罰が行われていないのであれば、彼らは会社の歯車としてちゃんと機能しなくなる。

 

令、素より行われ、以て其の民を教うれば、則ち民服す。令、素より行われず、以て其の民を教うれば、則ち民服せず。令の素より信なる者は、衆と相い得るなり。

 

 決まり事が普段から徹底して守られ、規律がしっかり保たれているならば、部下は命令に従う。逆に、秩序が乱れている職場じゃ部下は命令に従わない。前者のように模範的な職場で、なおかつ上司も誠実にルールを則っていて始めて、上司と部下の信頼関係は築けるのである。

 

 つまりはちゃんとした規範を作って、上司となる人物こそしっかりと守り、部下へお手本を見せなければならない。

 

規範とは会社のルール、飲食業でいうところのマニュアルですね

 

意外と上の人こそ守っていなくて、だからこそアルバイトは不満をもって退職する事が多いです

 

 割れ窓理論で説明されているように、人の道徳心・倫理観は環境によって左右される。部下同士が仲違いしているのを、「本人達の問題」と捉えるのか「会社が悪い方向に向かっている」と受け取るかによって、会社の将来は変わってくる。だからこそ、上司の立場にある人は放任主義であってはならないし、環境の乱れが目に付いたら、徹底した指導を行う必要がある。

 

 まとめとして、会社の乱れは指導者の責任である。俺もこれを肝に銘じねばと思います。

 

十、地形篇

 

 始めに地形を6種に分け、それぞれに合った戦略戦術が紹介されているんですが、ここで割愛します。これは書かれた時代背景が影響していて、現代においては効用が大して無いと判断したからです。

 

 この記事ではビジネスに置き換えて紹介しているので、マジな軍事的話題されると主旨から逸れてしまいます。よって、興味ある方はちゃんと本買ってくださいね(唐突な宣伝)

 

およそこの六者は敗の道なり

 

ここでは、ダメな会社について説明されています

 

兵には、走なる者あり、弛なる者あり、陥なる者あり、崩なる者有り、乱なる者あり、北なる者あり。

 

  • 走とは、自分より10倍もある勢力と戦うこと。
  • 弛とは、社員の能力は高いのに、上司がそれを発揮させられていないこと。
  • 陥とは、上司に能力はあるが、部下にはない状態のこと。
  • 崩とは、上層部が中間管理職の能力を理解しておらず、中間管理職は上層部の命令に従わず、勝手な行動をすること。
  • 乱とは、部下を甘やかす上司によって、会社の秩序が保たれていないこと。
  • 北とは、上層部が他社の情報を把握しておらず、自社が不利で他社が有利な状況でプロジェクトを決行したり、または何もせず、改善策を施さないこと。

 

破綻する会社についてはわかったけど、逆にどうしたら良いんだろう?

 

それについては下記で解説します!

 

卒を視ること嬰児の如し

 

卒を視ること嬰児の如し。故に之と深谿にも赴く可し。卒を視ること愛子の如し。故に之と俱に死す可し。厚くして使うこと能わず、愛して令すること能わず、乱れて治むること能わざれば、譬えば驕子の若くして、用う可からざるなり。

 

 部下を赤子のように可愛がる。それは甘やかすのとは違い、飴と鞭を使い分ける教育だ。そうやって信頼関係を築けていれば、部下は険しい道も共についてくる。

 

 部下を大切にしすぎて戦場へ送り出す事が出来なかったり、責任を取らなければいけないような言動をしても厳正な処罰をしないようでは、部下の能力を存分に発揮させる事はできないし、それは正しい教育と言えない。

 

彼を知り己を知れば、勝、乃ち殆うからず

 

吾が卒の以って撃つべきを知るも、敵の撃つべからざるを知らざるは、勝の半ばなり。敵の撃つべきを知るも、而して吾が卒の以て撃つ可からざるを知らざるは、勝の半ばなり。敵の撃つ可きを知り、吾が卒の以って撃つべきを知るも、地形の以って戦うべからざるを知らざるは、勝の半ばなり。故に兵を知る者は、動いて迷わず、挙げて窮せず。故に曰く、彼を知り己を知らば、勝、乃ち殆うからず。地を知り天を知れば、勝、乃ち窮まらず。

 

 敵を攻める能力があったとしても、敵の戦力を把握していないのであれば、勝利は大して望めない。

 

 敵の実力は大してないと把握したとて、仲間の実力を把握していないのであれば、勝利は大して望めない。

 

 戦に長けている者は、敵や味方、地形の3つを十分に理解しているので、迷いなく行動し、窮地に陥る事がない。

 

 敵を知り、己を知るものこそ、勝利を掴めるのである。また、天の時と地の利を得ている者は、負けることがない。

 

会社経営をしっかりしていないと自滅するってことですねぇ・・・

 

十一、九地篇

 

善く兵を用うる者は、能く敵人をして前後相及ばず、衆寡相恃まず、貴賎相救わず、上下相扶けざらしむ。卒離れて集まらず、兵合して斉わざらしむ。利に合えば而ち動き、利に合わざれば而ち止む。

 

 端的に言えば、敵と直接対決するのではなく、敵が内部抗争をするよう離反工作を行うということ。組織そのものを壊しにかかるのが、戦上手というものだ。

 

 これは現代でいうと道徳的・倫理的に問題があるし、時として違法となりうる。

 

 だが、ここで大事なのは自分な有利な状況でのみ動くというところで、その機会が来るまで身を潜めていなさいと咎められる。

 

敢えて問う

 

敵、衆にして整えて将に来たらんとす。之を待つこと若何。 曰く、先ず其の愛する所を奪わば、則ち聴かん。兵の情は速やかなるを主とす。人の及ばざるに乗じ、虞らざるの道に由り、其の戒めざる所を攻むるなり

 

 もし敵が巨大な勢力だったらどうするか。

 

 向こうにとって重要なもの、例えば主軸となる商売・サービスでこちらが打ち勝て。すなわち、商いで大事なのは行動力である。敵の不備を突き、先手を打ち、警戒していない部分を攻める。

 

 ここで面白いのは、確固たる勝算が無いなら戦うなと説いた孫氏に、激戦区へ現れた強大な敵とどう戦うか問うた人である。

 

 そしてその答えが、相手の重要なものを奪え。つまり、敵の弱点・急所を突けというものだ。そうすれば相手は混乱し、勝つことはできなくとも、味方を守ることは可能。すなわち、負けないのである。

 

 大企業は中小企業をナメている。言い換えるならば、慢心といったものが少なからずある。だからこそ、相手の短所を攻める判断力や行動力が大切。

 

 恐らく、大企業だからこそ出来ないことがある。それは、中小企業ならやれる事だ。

 

静かにして以て幽く

 

将軍の事は、静かにして以て幽く、正しくして以て治まる。能く士卒の耳目を愚にして、之くこと無からしむ。其の事を易え、其の謀を革め、民をして識ること無からしむ。其の居を易え、其の途を迂にし、民をして慮ることを得ざらしむ。帥いて之と期するは、高きに登りて其の梯を去るが如く、帥いて之と深く諸侯の地に入りて其の機を発するは、群羊を駆るが若し。駆られて往き、駆られて来たるも、之く所を知ること莫し。三軍の衆を聚めて、之を険に投ずるは、此れ将軍の事と謂う。九地の変、屈伸の利、人情の理は、察せざる可からざるなり。

 

 経営者たるもの、部下全員に考えが見透かされているようでは情けない話である。

 

 確かに目的・目標を示す事は大事で、それによって一致団結を図れる。しかし、上に立つ人間が持つ真の思惑が可視化されていては終わりなのである。それはそなわち、上司と部下という関係でありながら、お互いに同じ思考をしているということで、それで上司が指揮をとっているようでは何ら意味がないのだ。

 

 上司の方が場数を踏んでいるのだから、部下からしてみれば険しい道を、厳しくも歩ませることがあるだろう。そんな時に上の意図を読み取られ、あまつさえ逃げられては不毛だろう。

 

 上司ならば、部下を高所に登らせてハシゴを降すくらいの事をすべきである。退路を断って前に進むしかなくなった時、背水の陣だ。火事場の馬鹿力で、最大限の能力が発揮される。

 

始めは処女の如くにして、敵人、戸を開くや、後は脱兎の如くす

 

兵を為すの事は、敵の意に順詳するに在り。敵に幷せて一向し、千里にして将を厥す。此れを巧事と謂う。是の故に政挙がるの日は、関を夷ぎ符を折きて、其の使を通ずること無く、廊廟の上に厲しくして、以て其の事を誅む。敵人闠を開かば、必ず亟かに之に入り、其の愛する所を先にして微かに之と期し、剗墨して敵に随い、以て戦事を決す。是の故に始めは処女の如くにして、敵人、戸を開くや、後は脱兎の如くす。敵、拒ぐに及ばず。

 

 前の段落では、仲間にすら真の意図を漏らすなという話をした。今回は、敵にも悟られてはいけないという話である。

 

 敵に計画が漏洩しては台無し。だから、情報を極力漏らさないよう、仲間にすら事細かに説明してはならんのだ。

 

 むしろ「何も考えてない」と思わすくらいにナメられていてもよい。相手が油断した隙を突けば、勝利を収めるのは不可能じゃない。

 

十二、火攻め篇

 

 冒頭で具体的な火攻めの方法が紹介されていますが、現代では使えないので割愛。

 

火を以って攻を佐くる者は明なり

 

戦えば勝ち、攻めれば取るも、其の功を修めざる者は凶。命けて費留。故に曰く、明主は之を慮り、良将は之を修む。利に非ざれば動かず、得るに非ざれば用いず、危うきに非ざれば戦わず

 

 火攻め、すなわち多種多様な技を習得し、それを臨機応変に使いこなせる者こそ、賢者と呼ぶにふさわしい。

 

 また、そうして戦争で勝とうとも、目的を達成できないのでは意味がない。また、そもそも利益にならないなら争い事に参加すべきではない。

 

 ここで、始計篇あたりの復習が入ります。戦争とはあくまで手段なのだから、勝利を目的とするな。つまりは、それによって得られるものを考慮しなさい。

 

 何らかの競争に参加したいとして、そもそもこれで一番を取った事で何になるのか?

 

 本当に、会社にとっての利益になるのか?

 

 そういった事を冷静沈着に考えてから、戦いに挑みなさいとしています。

 

十三、用間篇

 

 冒頭で「戦わずして勝て」と強調し、中盤から「どうしても戦わなければならない場合の戦略戦術はこうだ」と紹介し、最後に「それでもやはり戦争は回避しなさい」と主張される。

 

孫子曰く

 

凡そ師を興すこと十万、師を出だすこと千里なれば、百姓の費、公家の奉、日に千金を費やし、内外騒動して、道路に怠れ、事を操るを得ざる者、七十万家。相守ること数年、以て一日の勝を争う。而るに爵禄百金を愛みて、敵の情を知らざる者は、不仁の至りなり。民の将に非ざるなり。主の佐に非ざるなり。勝の主に非ざるなり。

 

 仲間にちゃんと地位や名誉を与えず、表彰しないような指導的立場にある者、もっと言えば敵の情報をちゃんと把握しない者、そんな人は上司失格である。

 

 味方や地域住民に対する奉仕の心が無い者に、勝利は掴めない。

 

故に明主・賢将の動きて人に勝ち、成功の衆に出づる所以の者は先知なり。先知なる者は、鬼神に取る可からず。事に象る可からず。度に験す可からず。必ず人に取りて敵の情を知る者なり。

 

 ゆえに賢い上司というのは、先見の明を持ち合わせている。それは宗教やスピリチュアルなど非科学的なものではなく、過去の経験でもなく、自分の力で掴み取った情報によるもの。

 

 俺は他の記事を読んでもらえばわかる通り、宗教も齧ってる。そこで意外だったのは、商売繁盛のご祈祷やお守りを手にしたがる経営者が多いことだ。そんなもので会社は急成長を遂げたりしない。所詮は気休めである。

 

 また、これを読んで意外だったのは、過去の経験による判断も否定しているところだ。だが確かに考えてみればそうで、過去はあくまで過去。状況は常に変化しており、勝利した経験があっても同じ手法で次も上手くいくとは限らない。

 

 状況に合わせた臨機応変な判断が必要である。そこで必要となってくるのが情報だ。以前は順調にいっていても、今現在にそれが当てはまるのは言い切れない。それは敵味方どちらに対しても言える。なので、情報収集に力を入れるべきなのだ。

 

スパイは5種類ある

 

間を用うるに五有り。因間有り。内間有り。反間有り。死間有り。生間有り。五間倶に起こりて、其の道を知ること莫し、是を神紀と謂う。人君の宝なり。
生間なる者は、反り報ずる者なり。因間なる者は、其の郷人に因りて用うる者なり。内間なる者は、其の官人に因りて用うるなり。反間なる者は、其の敵間に因りて用うる者なり。死間なる者は、誑事を外に為し、吾が間をして之を知ら令め、而して敵を待つ者なり。

 

 情報を集めるのに必要なのが間諜。スパイのことである。だが、違法行為になるので真似しないように注意したい。

 

 ここで、孫氏の兵法でいう5つの間諜を現代に置き換えるとどうなるのか、引用する。

 

因間(郷間)―― 顧客の身近、周辺にいる人間を利用する諜報活動
   近所の人、親族、出入りしている人、取引業者、口コミの評判


 内間 ―― 顧客の内部にいる人間をスパイにする
   客先で内部情報を聞き出す、秘書・受付と仲良くなる、家族


 反間 ―― 敵のスパイを利用する こちらのスパイにしてしまう
   競合の営業マンと親しくなり情報を聞き出す、自社に転職の誘いをしてみる、
   軽くニセ情報を流してみる


 死間 ―― 死ぬ(失注)からこそ聞ける情報をとってくる
   失注した時にこそ聞ける本音情報をとる、
   失注してもそこで終わらずに伝えるべき情報を伝えてリベンジに備える


 生間 ―― 一度で終わらず二度三度と諜報活動を繰り返す
   受注したら更に突っ込んで色々と裏情報、内部情報を聞き出す
   その情報は蓄積し、今後の取引に備える*8

 

 正直、俺もこの被害にあった事はある。会社の根幹を揺るがすような、いわゆる機密情報ではないので訴えられない。だが、知られると困ることもある。

 

 なので、例え仲間・味方と思っていても、そう簡単に情報を漏洩させないよう意識すべきだろう。誰が何の拍子に漏らすかわからない。上記にも登場した真の意図のくだりにも繋がる。

 

 俺の場合、親ですらビジネスの話をしてはならんと思う。事実、それは徹底している。

 

 「経営者とは孤独なもんだ」と誰かが言っていた。言い得て妙。仲間へすら自分が本当にやりたい事を伝える事ができず、孤立した存在なのだ。それは、仲間を守るためだからこそ仕方がない。

 

皆死す

 

三軍の親は、間より親しきは莫く、賞は間より厚きは莫く、事は間より密なるは莫し。聖(智)に非ざれば間を用うること能わず。仁(義)に非ざれば間を使うこと能わず。微妙に非ざれば間の実を得ること能わず。密なるかな密なるかな。間を用いざる所なし。間の事未だ発せず、而して先ず聞こゆれば、間と告ぐる所の者と、皆死す。

 

 戦争において一番大切なのはスパイである。そして、それを扱うには利他の心が必要であり、それなくして能力の発揮はできない。また、一番讃えるのに相応しいのも、スパイである。

 

 さらに、スパイを扱えるほどの知謀も必要だ。そうじゃないと適切な配置が出来ず、望む情報も手に入れないだろう。

 

 もっと言えば、情報を吟味する洞察力・考察力も不可欠である。それが無ければ宝の持ち腐れ。得た情報も無駄になる。

 

 さらに、もしこちらの情報を洩らすような者がいるならば、適切な処置を行う冷静沈着さも大切になってくる。

 

殺さんと欲する

 

軍の撃たんと欲する所、城の攻めんと欲する所、人の殺さんと欲する所は、必ず先ず、其の守将・左右・謁者・門者・舎人の姓名を知り、吾が間をして必ず索めて之を知らしむ。

必ず敵人の間を索し、来たりて我を間する者は、因りて之を利し、導きて之を舎せしむ。故に反間は得て用う可きなり。是に因りて之を知る。故に郷間・内間も得て使う可きなり。是に因りて之を知る。故に死間も誑事を為して敵に告げ使む可し。是に因りて之を知る。故に生間も期するが如くなら使む可し。五間の事は、必ず之を知る。之を知るは必ず反間に在り。故に反間は厚くせざる可からざるなり。

 

 敵へ攻撃しなければならないなら、上層部から末端まで、徹底的に情報を集めるべきである。そして、スパイ(あるいは口の軽い者)がいないかを調査し、もし見つけたならば利益を餌に寝返らせる。あるいは偽情報という名の罠を仕掛ける。

 

 自分が何か攻めたくても、動かないかのように言いふらしたり、逆に動かないが、攻めるかのような言動を見せる。そういう情報が囮になる。

 

 ちょっとここで余談。俺の周囲だけかもしれないが、酒の席になるとビジネスの近況喋る人がいる。「それ言っていいのか?」とすら思う話題。最初はカマかけられているのかなど疑ったが、どうやら何も考えずに口走っているだけみたいだ。

 

 お酒は怖いと再確認。ビジネスの情報は漏らすまいと、酒は一滴も飲んではならん。そう肝に銘じた。だが、飲み会は行くべきなんだとも思った。

 

 敵の情報はかき集め、自らの情報は漏らさない。これが鉄則。なぜなら、戦争とは騙し合いだからである。

 

参考文献

 

 さて、上記で孫氏十三篇の解説は終わりである。独自解釈が混じってるし、それがほとんどとも言えるかもしれない。そうは言いつつも、参考となったものがいくつかあるので、それを紹介してから纏めに入る。

 

孫子の兵法で企業経営を革新する!?|孫子兵法家

 

「【ゆっくり解説】孫子十三篇」 浸透襲撃 さんの公開マイリスト - ニコニコ動画

 

 

 

まとめ

 

守屋洋は、孫子の兵法は以下の7つに集約されるとしている。

 

  1. 彼を知り己を知れば百戦して殆うからず。
  2. 主導権を握って変幻自在に戦え。
  3. 事前に的確な見通しを立て、敵の無備を攻め、その不意を衝く。
  4. 敵と対峙するときは正(正攻法)の作戦を採用し、戦いは奇(奇襲)によって勝つ。
  5. 守勢のときはじっと鳴りをひそめ、攻勢のときは一気にたたみかける。
  6. 勝算があれば戦い、なければ戦わない。
  7. 兵力の分散と集中に注意し、たえず敵の状況に対応して変化する。*9

 

 

 

 

 

 

*1:孫子の兵法 125p 守屋洋

*2:孫子の兵法 p133 守屋洋

*3:孫子の兵法 p135 守屋洋 

*4:孫子の兵法 p138~139 守屋洋

*5:

【ゆっくり解説】孫子十三篇(九変篇第八) - ニコニコ動画

*6:著者/諸葛孔明 『便宜十六策』 『諸葛孔明の兵法』 著者/守屋洋

*7:鳥の起つは伏なり。 鳥が飛び立ったらそこに人が居る

*8:http://www.kazuhiro-nagao.com/suntzu/youkan.html

*9:ウィキペディアの執筆者,2019,「孫子 (書物)」『ウィキペディア日本語版』,(2019年9月5日取得,https://ja.wikipedia.org/w/index.php?title=%E5%AD%AB%E5%AD%90_(%E6%9B%B8%E7%89%A9)&oldid=74116893).

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