天ぷらを揚げるのに10年かかる理由

お題「最近気になったニュース」

 

 

 

 「弟子が客前で天ぷらを揚げるのに10年かかる」とインターネットで話題になっているのを拝見しました。

 

 俺は蕎麦の修業をしている身ですが、「10年って長いな」って口に出ました。ですが、それに納得してお弟子さんは師弟関係を結んでいる訳ですし、外野が口を挟むのは違うんじゃないかとも思います。

 

 そうは言いつつ否定派の言い分もわかるので、俺なりに慮った理屈を書かせてください。

 

 

なぜ天ぷらを揚げるのに10年?

 

 これはあくまで俺の主張であり、そこのお店の意見ではないことをあらかじめご了承ください。俺はそのお店と何ら関係はありません。

 

 

 まず、蕎麦屋でいうと『包丁3日、のし3ヶ月、木鉢3年』という言葉があり、蕎麦打ちを覚えるのに約3年かかると言われています。俺が一人前と認められ蕎麦を任されるようになったのは3年目なので、あながち間違っていないのかも。

 

 俺の周囲で蕎麦打ちを教えてもらう事に数年かかった人はいないですが、お寿司屋さんだと包丁を握らせてもらうのに何年もかかるそうです。そこからようやく寿司の修業が始まるのだそう。

 

 なんでそんな「お高くとまってる」と言われそうな事が行われているかというと、飲食業は退職者が多いからです。俺には同期が3人いましたが、1年続いたのは俺以外に1人だけ。その方は2年経たない内に辞めましたが。

 

 

飲食業に勤めるとどうなるのか?

 

 『なりたくない職業ランキング』を検索するといくつものサイトがヒットしますが、飲食業は上位にランクインしていますよね。手に職を持っている人達の業界なので縦型社会であり、体育会系の職場なので合わない人が殆どなんです。だから「料理を教えてすぐに辞められたら、教えた時間が無駄だ」と言った先輩が居ました。

 

 

 あと、自分が編み出した技術を外へ出さない意味もあります。産業スパイが実際に行われた話は聞かないんですが、無くはないそう。

 

 もう一つ。「何年もかけて編み出した手法を易々と他人へ教えたくない」というプライド。俺はどちらかと言うと自慢したがりなのですぐ教えますが、そういう人もいます。

 

 最後に、ネームバリューです。『料理学校を卒業して店を持ちました』という方より、『〇〇というお店で××年修業しました』という職人の方に付加価値があるんです。老舗や有名店だったら特にです。俺は味さえ良ければどちらでも良いんですが、後者の方が店として箔がつくそうですよ。

 

 

 以上。俺なりに考えた理由でした。飲食業を続けられない人が多い理由がわかったんじゃないでしょうか。

 

 

 余談ですが、俺はこういう料理人ばっかりの業界だと感じています。少なくとも俺の周囲ではそうです。だから飲食業めっちゃ好きな人と「こういうところ大っ嫌い」っていう二極化が激しいと思いますよ。今とは別の所で働いて1年経った頃、先輩から「ここで長く働くなんて根性あるな」って言われましたからね。1年ですよ。大体の人が3ヶ月前後で辞めたりするから、1年いるだけで評価されるんですよ。そんな業界ですからね。

 

 この現状を改善しない限り和食の業界は衰退していきそうですが、長くなるのでそれはまた別の記事で書きます。

 

 

本当に10年かかっているのか?

 

 確かめた訳じゃないので不確かな発言になりますが、恐らく『客前で』揚げるのに10年の月日が必要なだけであって、天ぷらの修業自体はしていると思います。

 

 俺はお客さんに天ぷらを提供するまで1年かかりましたが、その間は賄いとして作っていました。お客さんの前で天ぷらを揚げる姿を見せる時、てんやわんやとした様子を見せるわけにはいきません。俺だったら手慣れた手つきで調理する料理人から食事を提供されたいです。

 

 それに10年もかかるのかは知りません。

 

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