原付でミニバンにオカマほって仏様を見た話

お題「どうしても言いたい!」

 

 先月の中旬ごろだった。師匠に作った蕎麦つゆを味見してもらったんだけど暖かい醤油でしかないとか厚削りの味が出てないとか結構お叱りの言葉を受けた。あまつさえ「お前はここで修業して一年以上経つのにこの程度なのか」と言われた。

 

 開店から閉店まで、俺はずっと以上の様な事を言われ続けて心身共に疲れていた。帰路の途中、渋滞に引っ掛かって、止まっている間もずっと考えていた。

 

 

 今まで何をやっていたのか。怠けすぎていたから師匠を落胆させてしまったんだ。なぜダシの一つも作れないのか。これからは今まで以上に努力しなければならない。

 

 

 そうやって反省している時、手に力が入ってしまって前の大型ミニバンに接触してしまった。

 

 降りてきたのは耳にピアス開けて髪の毛を明るくした20代の女性だった。

 

 俺はただただ謝り続けた。向こうは「目に見える傷はないのでもう良いですよ」と言って下さったが僕は警察を呼ばせてもらった。警察に対してもこの方は「別にいいんですけど」と仰った。

 

 後日、この方に電話して、ちゃんど謝罪させてくださいと言ったが面会は断られ、下記の様な事を仰った。

 

 「車に傷もないし体調に異常もないから弁償も慰謝料も要求しません。でも貴方のせいでこの事故が起きたので、今後はこのような事を犯さないように反省しながら生きるようにしてください」

 

 僕は自分なりの反省として事故を起こしてから今日まで原付に乗らない生活をしていた。バスや電車を使う生活をしていたが、乗り物に乗る度に上記の言葉を思い出す。

 

 免許を取る前から事故を犯してしまうような人間だと自覚していたので、人様に迷惑をかけるくらいなら免許には乗らない生活を送って行くと周りには言っていた。でも家族の説得が一年以上続き、僕は原付の免許だけならと取得する事にした。

 

 でも案の定年に何度も自損事故を起こすし「やっぱり僕は乗り物を運転するべきじゃないんだ」と言っていた。だから必要最低限だけ乗ろうと思って極力、通勤以外では乗らないようにしていた。それでも今回、帰宅中に人様へ迷惑をかけてしまったので本当に落ち込んだ。

 

 17の時からこうなる事は予想していたのに自分の不注意からこのような事を犯してしまったので、もう二度とこのような事を起こさないように今まで以上の注意をしながら運転しようと思います。

 

 

 最後に、僕はこの事故を起こしてから思い出した話があります。それはこの件の数日前に住職から聞いた話です。

 

 東日本大震災の時、除染作業員がテレビのインタビューに答えていたそうです。

 

 その取材に答えていた男性は眉毛全剃りでピアスもいくつか開けた見るからにガラの悪そうな男性だったそうですが、インタビュアーから「なぜ自分の身に危険が及ぶかもしれないのにこの仕事をするんですか?」と言った主旨の質問を受けた際、「誰もやりたがらないけど誰かがやらなければならない仕事。これが日本の為になるなら俺はやろうと思います」と答えたそうです。

 

 それを聞いてその男性の内側に仏様を見出し、テレビの前で手を合わせたと語られていました。

 

 偏見かもしれないがその男性は過去に悪さをしていたかもしれない。でも日本の為を想い、自分の身を削ってでも除染作業をすると言った利他主義の姿だけは確実に仏様なんだって話してくださいました。

 

 僕が事故を起こして謝罪者の女性に謝罪した際、笑顔で「別にいいよ」と許してくださった姿をみて、その人の内側に仏様をみました。僕が直接の謝罪、弁償と慰謝料を払わせてくださいと言っているのにそれを断り、この件を受けて僕が更生する事の重要性を語ってくださいました。

 

 僕はこの言葉を心に刻み、明日からまた原付に乗ろうと思います。

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